Characters/pronunciation
シン・日本語の文字と発音のルール
日本語を学ぶ上でまず最初にぶちあたる壁が「ひらがな・カタカナ」の五十音と呼ばれる文字。
漢字と違って表音文字という1文字1発音と対応しているので、ある程度体系だっているように見えますが、一部例外やルールがきれいに揃っていないものがあります。
シン・ニホンゴでは、既存のルールを活かしつつ新しい「ひらがな・カタカナ」そしてそれに対応する「発音」を整理していきたいと思います。
すべての変更は「原則・理念」に乗っ取りますので、こちらも参照ください。
まず最初に変更点のまとめから。
・崩れていたサ行・タ行などの子音を統一
・溢れた「shi」「tsu」などを別の表記「すひ」「つす」に
・「お」「を」の発音を区別
・その他、細かい点の変更
以上が主な変更点となります。では順番に解説していきましょう。
崩れていたサ行・タ行などの子音を統一
五十音のルールとは何でしょうか。
我々母語話者、日本人はあまり意識せず理解していますが、実は学習者にとっては分かりやすいきれいなルールができています。
それはほぼすべての文字が「母音(a i u e o)+子音(k s t など)」で構成されている点です。
「あいうえお」はそのまま母音なので「a i u e o」
「かきくけこ」はそれに子音「k」を足して「ka ki ku ke ko」と、続けていく。
この組み合わせで最初の子音だけ分かればあとは表通り読んでいけばだいたい読み方も推測できます。
ただし、例外があります。それが主にこの3つの行。
※従来の日本語の五十音
①さしすせそ→ sa shi su se so → [sa ɕi sɯ se so]
②たちつてと→ ta chi tsu te to →[ta tɕi tsɯ te to]
③はひふへほ→ ha hi fu he ho →[ha çi ɸɯ he ho]
左から「ひらがな」→「ローマ字表記」→「国際音声記号(IPA)」です。
ローマ字で書くときなんで「し」は「si」と書かずに「shi」と書くんだろう?と思った方といると思います。
これは実は発音が違っていて、「si」と表記通り発音すると「スィ」、英語の「sea」とか「similar」のような発音になります。
「shi」というのは本来「シャシュシェショ」に属するの子音なんですが、なぜか「シ」だけs行に紛れ込んできたっていう例外です。
他の「chi」も「チャ行」、「tsu」も「ツァ行」、「fu」も「ファ行」に本来ないといけないのが、混ざってきていると考えるといいです。
では、これをシン・ニホンゴでは統一しましょう。
シン・ニホンゴの五十音 ※変更点は赤字
さしすせそ→ sa si su se so → [sa sʲi sɯ se so]
たちつてと→ ta ti tu te to → [ta tʲi tɯ te to]
はひふへほ→ ha hi hu he ho → [ha çi hɯ he ho]
ざじずぜぞ→ za zi zu ze zo → [za zʲi zɯ ze zo]
だぢづでど→ da di du de do → [da dʲi dɯ de do]
上述したサ行・タ行・ハ行に合わせて濁音のザ行・ダ行も変更。このことで今まで発音が一緒だった「ず」「づ」問題も「zu(今までの「ず」)」と「du(ドゥ)」で使い分けもできるようになりました。
溢れた「shi」「tsu」などを別の表記「すひ」「つす」に
続いて先程の子音統一の変更で「し」が「スィ」の音に、「つ」が「トゥ」という音に変わりました。
しかし実際の日本語では「shi」や「tsu」という発音はあるので、別の表記をしなければなりません。
これをアルファベットのしくみを活かして新表記を作っていきます。
すは すひ すふ すへ すほ sha shi shu she sho [ɕa ɕi ɕɯ ɕe ɕo]
ずは ずひ ずふ ずへ ずほ ja ji ju je jo [ʑa ʑi ʑɯ ʑe ʑo]
ちゃ ちぃ ちゅ ちぇ ちょ cha chi chu che cho [tɕa tɕi tɕɯ tɕe tɕo]
つさ つし つす つせ つそ tsa tsi tsu tse tso [tsa tsʲi tsɯ tse tso]
ふぁ ふぃ ふぅ ふぇ ふぉ fa fi fu fe fo [ɸa ɸʲi ɸɯ ɸe ɸo]
一気に見慣れない文字が出てきました。暗号っぽくていいですね。
既存の読み方で言うなら上から「シャ行」「ジャ行」「チャ行」「ツァ行」「ファ行」と同じ読み方だと思うとわかりやすかと思います。
これで昔の「shi」は「すひ」と表記、あらたな「すは行」グループに入ります。
どうでもいいですが、この小さい「は」、わざわざフォントを変えて打つしかないので非常にタイピングがしづらいですw
「お」「を」の発音を区別
こっからはもう補足的なので簡単です。
助詞の「を」と「お」は音声が同じで表記を使い分ける唯一と言ってもいいひらがなペアですが、これは当然廃止します。
わ を ん wa wo n [wa wo n]
古文では「わゐうゑを」があって、発音も「wa wi wu we wo」だったのである意味「を」を「wo」と読むのは時代に逆行している気もしますが・・・既存ルールになるべく合わせて例外を無くす方を優先するのでこの辺は気にしません。
今でも歌とかでは「〜うぉー♪」って歌う人もいますしね。
その他、細かい点の変更
あとはざっと行きます。
まずは長音。
今まではひらがな表記では「おかあさん」「おねえさん」のように母音「あいうえお」を使って、カタカナでは「スーパー」「カード」など「ー」この長音記号を使っていました。
これは全部「ー」に統一します。
なぜひらがなの方に合わせずカタカナ側に合わせたかというと・・・ひらがなの方が例外が多いからです。
「おおきい」「とおい」に対して、「おうさま」「とうろく」など、おなじ「oo」という発音でも単語によって「おお」「おう」と表記が二つあるんですよね。
なのでこれを全部「おーきい」「おーさま」とすればどちらも分かりやすく例外なく統一できるわけです。
もう一つは表記ではないですが、発音面での条件異音と呼ばれるもの。
「がぎぐげご」と「ざじずぜぞ」の子音は普通は「g」「z」なんですが、語中のガ行は鼻濁音の「ŋ」、語頭のザ行は破擦音「dz」が出ることがあります。
鼻濁音の「ŋ」は現代の若者ではほぼ消えかかっているので廃止。
「dz」は今でも普通に使っていますが、これも例外となるので廃止。
ちょっと発音の違いを文章で伝えるのは難しいのですが、シン・ニホンゴでは語頭の「ザ行」はあまり強く「ズア!」と言わずに、摩擦音を意識してきれいに「ザー」と発音するのがコツです。
以上。
完成版:シン・ニホンゴの五十音・発音表
では最後に変更点をまとめた「シン・ニホンゴの五十音・発音表」です。
あ[a] | い[i] | う[ɯ] | え[e] | お[o] |
か[ka] | き[kʲi] | く[kɯ] | け[ke] | こ[ko] |
さ[sa] | し[sʲi] | す[kɯ] | せ[se] | そ[so] |
た[ta] | ち[tʲi] | つ[tɯ] | て[te] | と[to] |
な[na] | に[nʲi] | ぬ[nɯ] | ね[ne] | の[no] |
は[ha] | ひ[çi] | ふ[nɯ] | へ[he] | ほ[ho] |
ま[ma] | み[mʲi] | む[mɯ] | め[me] | も[mo] |
ら[ra] | り[rʲi] | る[rɯ] | れ[re] | ろ[ro] |
や[ja] | ゆ[jɯ] | よ[jo] | ||
わ[wa] | を[wo] | |||
ん[n] | ||||
が[ga] | ぎ[gʲi] | ぐ[gɯ] | げ[ge] | ご[go] |
ざ[za] | じ[zʲi] | ず[zɯ] | ぜ[ze] | ぞ[zo] |
だ[da] | ぢ[dʲi] | づ[dɯ] | で[de] | ど[do] |
ば[ba] | び[bʲi] | ぶ[bɯ] | べ[be] | ぼ[bo] |
ぱ[pa] | ぴ[pʲi] | ぷ[pɯ] | ぺ[pe] | ぽ[po] |
きゃ[kʲa] | きゅ[kʲɯ] | きょ[kʲo] | ||
ぎゃ[gʲa] | ぎゅ[gʲɯ] | ぎょ[kʲo] | ||
すは[ɕa] | すひ[ɕi] | すふ[ɕɯ] | すへ[ɕe] | すほ[ɕo] |
ずは[ʑa] | ずひ[ʑi] | ずふ[ʑɯ] | ずへ[ʑe] | ずほ[ʑo] |
ちゃ[tɕa] | ちぃ[tɕi] | ちゅ[tɕɯ] | ちぇ[tɕe] | ちょ[tɕo] |
つさ[tsa] | つし[tsʲi] | つす[tsɯ] | つせ[tse] | つそ[tso] |
にゃ[nʲa] | にゅ[nʲɯ] | にょ[nʲo] | ||
ひゃ[ça] | ひゅ[çɯ] | ひょ[ço] | ||
ふぁ[ɸa] | ふぃ[ɸʲi] | ふぅ[ɸɯ] | ふぇ[ɸe] | ふぉ[ɸo] |
びゃ[bʲa] | びゅ[bʲɯ] | びょ[bʲo] | ||
りゃ[rʲa] | りゅ[rʲɯ] | りょ[rʲo] | ||
ゔぁ[va] | ゔぃ[vʲi] | ゔ[vɯ] | ゔぇ[ve] | ゔぉ[vo] |
以上です。
実際に単語や文で書き出すとどうなるか、それはまた別の記事でまとめたいと思います。
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